T研究の目指しているもの |
(1)本校の基本的な考え |
@ 観音小学校教育目標とのかかわりについて |
教育目標
「人権を尊重し,心身ともにたくましい実践力のある子どもの育成」 |
目指す子ども像は次の通りである。
○すすんで丈夫な体,豊かな心,知識や技能を求める子ども
○すすんで生活を築き,実践しようとする子ども
○広い視野を持ち,社会に貢献しようとする子ども |
A 人権教育研究の主題について |
学校教育目標を具現化するために,人権教育研究の主題を,『豊かな心を持ち,主体的に活動する子どもの育成』とした。「豊かな心」を基盤として,支え合う仲間との交流の中で,児童一人一人が自己肯定感を持ち,「主体的に」学び・考えていく中で自尊感情を育成したいと考え,以前より継続して研究してきた。 |
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B 副題について |
ア 本校児童の実態 |
本校児童は,教師の働きかけによく応え,前向きな学校生活を送っている。
現在の本校の児童のよさとしては,次のようなものが挙げられる。
・明るく,素直で,人なつこい。
・友だちに対して思いやりを持つことのできる子どもが多い。
・学校を居場所としている子どもが多い。
その一方で,経験不足やスキンシップへの欲求不満などを抱え,
生活や学習に課題のある子どもも少なくない。
課題及びさらに伸ばしていきたい点として考えられるものは,次の通りである。
・豊かな自己表現の力
・自分の力で考え,行動する力
・確かな基礎的な学力
・自分に対する自信,安定した情緒
・粘り強く取り組む力
全体的に見ると,かなり落ち着いているが,さらに自主的自立(律)的な学習や
生活をすすめるために,家庭地域と協力して取り組む必要がある。 |
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イ 副題設定について |
副題「人とのかかわりを大切にした授業づくり」 |
本校児童の実態の課題解決のため、これまで「聞く」「話す」を取り入れた授業について研究実践を続けてきている。また、人との関わりを保障し、お互いの気持ちを理解した上で、子ども自身が人とどのように関わればよいかを考え、学び合う取り組みを進めてきた。
その中で、自分や友達を大切にする気持ちが表れるようになり、学級づくりや学年づくりにおいて成果が見られてきた。しかし、中には、ルールやマナーを守らず、じぶんたちの価値だけで行動する児童もいる。あらかじめ設定された「かかわり」の場において思考のゆれや変化は見られるものの、深化・修正させていくには、子どもたちの対人関係能力を育成していく必要がある。人とかかわりを大切にしていく中で、学校や社会にある様々なルールについて、意味を考えさせるなどの指導が必要に思う。
本年度、子どもたちの実態から考えられることは、自尊感情に気づかせ、高めていく方法を知らせながら、かかわりあう力を育てていかなければならないと考える。
そこで、本年度は、人ととのかかわり合いの中で、さらに思考を深めていくために、次のような態度や能力を育成したいと考えた。 |
○自分の思いや考えを表現する能力
・これまでの研究の積み上げを生かす。
・「読む」「書く」「聞く」「話す」の取り組みの成果を生かす。
人の話を「聞く」力 人に対して「話す」力
○主体的にかかわろうとする態度
○規範意識をもち、共同して活動しようとする態度
人とかかわることで,新たな見方ができるようになったり,他の人の考えとふれあいながら自分の考えを深化・修正したりでき,共に高まり合っていくことを願っている。
また,集団の中で他者に認められることで,自分に自信をもつとともに,友達のよさを見つけていき,子ども一人一人の自分探しをしていくことができるようになるであろう。
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(2)研究実践 |
@ 授業づくり |
ア 授業づくりの基本的な考え |
これまで本校では、「聞く・話す」の充実・発展を図り、人とのかかわりの中で思考を深める授業づくりに取り組んできた。
本年度はこれまでの取組の成果を生かしながら,「人とのかかわり」を大切にした授業づくりとして,次のような授業を目指すことにした。 |
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『人とのかかわりの中で自分の見方や考え方を深め、規範意識を育てる』 |
具体的には次のような授業づくりを考えている。
○各教科・領域での効果的な内容を研究する。
○児童が主体的に人とかかわっていく体験ができる学習内容を研究する。
○児童が共同して活動しようとする場づくりを研究する。
○これまでの研究成果(読む・書く・聞く・話す)を生かし「自ら考える子ども」の育成を図る。 |
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イ 授業研究の方法授業づくりにあたっては,次のような視点で研究することとした。 |
どのような手だてが,人とのかかわりの中で自分の見方や考え方を深め、
規範意識を育てるために効果的であるか |
これは,本年度の全ての授業における共通の視点とした。また,学習指導案にも授業づくりの視点に対する,具体的な方法や授業者の意図,支援・評価を明記するよう共通確認した。
授業研究の方法としては,各学年部会の授業を全員に公開して協議を行うと共に,外部から講師を招聘して研修することを中心にした。また,全体研修会と並行して,年間を通して,各学年部会内で授業を公開しあい,検討会を行うこととした。 |
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A 生活づくり |
ア 生活づくりの基本的な考え |
生活づくりの基本的な柱として,本年度は次の4項目を決め実践した。
・ 児童の生活実態をつかむ。
・ 児童の学校内での生活習慣づくりを進める。
・ 児童に多くの仲間や教職員とのふれあいの場をつくり,
コミュニケーションの能力をのばす。
・ 保護者や地域との連携を図り,家庭生活や地域での生活がよりよいものとなるように,
懇談会や講演会の内容を工夫する。 |
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イ 具体的な取組 |
「ロング昼休憩の実施」 |
(ア)目的 |
○十分な遊びを体験させる。
・ゆったりした時間を過ごすことで心のゆとりをもたせる。
・広い校庭で十分遊ぶことができるようにする。
○ 友達とのかかわりをもつことができるようにする。
・様々な遊びを通して,集団で遊ぶ楽しさを体験させる。
・遊びの中での助け合い,励まし合いのなかで友達のよさにふれさせる。
○ 認めあえる集団づくりをめざす。
・遊びを通してでてくる様々な問題を解決していく。 |
(イ)実施方法 |
○名称「ロング昼休憩」
○時間帯
毎週1回 火曜日 13:05〜13:40
○教師のかかわり方
・児童の実態に基づき支援していく(見守る,共に遊ぶ等)
・ロング昼休憩に子どもたちの様子を見る。
(学年で相談し、負担のない程度で月一回を目安に行う。) |
(ウ)保護者との連携 |
ロング昼休憩を実施するための,ねらい,児童の様子などを
学年通信や保護者懇談会などで伝える。 |
U 基礎・基本の習得に関する取り組み |
(1)本校の基本的な考え |
本校では,これまで「読み・書き・計算」を中心とした基礎学力の定着に向け,朝のドリルタイム,及び基礎学習の日の設定を継続し,成果を挙げてきた。
しかし,社会の急速な変化に対応して,児童が主体的に生きていくためには,そこで必要とされる基礎的・基本的学力について再検討し,明らかにしていくことが緊急な課題であると考える。
また,家庭学習においても,基礎・基本が習得できるように,従来の内容・方法について見直し,個に応じた具体的な指導方法の実践・研究を進めたいと考えた。 |
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(2)本年度の取組 |
帯時間の設定
○時間帯
月・火・水・金曜日 13:45〜14:00
○内容
・基礎学力定着のため、国語・算数を中心に復習を行う。
・5,6学年については、英語を含めて行う。
サマースクール
○日程
夏休み始めの週 4日間
○内容
・学習の補充
・水泳指導
・いきいきプラザ・福島教育集会所との共催による工作教室
・図書ボランティアによる図書室開放 |
V昨年度の成果と課題 |
(1) 授業づくり |
昨年度は、引き続き国語科を中心に実践研究に取り組んできた。各ブロック内で何回も事前研究を行うことで、教材の主題についてより深く解釈していくことができた。また、書き込みやワークシートの効果的な活用により、児童が自分なりの思いをもち、発言できるようになってきた。さらに、友達の発言をしっかりと聞き、つないでいこうとする姿勢が見られるようになってきた。これは、指導する側が児童の発言をつなぎ、ねらいに迫ろうと常に意識して取り組んできたからと考えられる。
しかし、児童の発言や思いをつないでいく過程で、どこまでねらいに迫ることができるかがこれからの課題となっている。子どもたちが学び合うことができるような切り返し発問やつぶやきの広げ方等について、今後も研修していく必要がある。 |
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(2)生活づくり |
異年齢集団との交流として、「お日さまタイム」や「ウオークラリーin観音」を実施してきた。こうした取り組みや日常的な取り組みの中で、高学年では、自治的な活動の基盤づくりをし、自分たちで決めたルールを守れるようにしてきた。低・中学年では、行事に参加した満足感だけに終わりがちであるが、周りの友達や上学年の関わり方を学ぶ機会として捉えることができるように配慮してきた。こうした交流は、体力向上のみならず、組み合わせによって上学年となった学年にとっては、リードしていく学年としての自覚が芽生え、自尊心を育むためにも、大変効果があった。
しかし、異年齢集団では、優しく関わり合うことができる反面、同年齢集団になると、ルールやマナーを守らず、自分たちだけの価値観で行動する児童も見受けられる。今後は、自尊感情に気付かせ、高めていく方法を知らせながら、学校や社会にある様々なルールについてその意味を考えさせることが必要である。 |
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(3) 基礎学力の定着 |
授業の中では、引き続き基礎学力の定着のために様々な工夫を重ねてきている。昨年度は、それに加え、家庭学習に目を向け、その定着を図ることを進めてきた。全学年で系統化した指導ができるように形態を統一し、学年ごとに発達段階に沿った内容のリーフレットを独自に作成した。各家庭に配付し、年2回にわたって「家庭学習ふり返り週間」を設定することによって意識付けを図った。保護者や児童からは、リーフレットを意識して取り組んだという声を多く聞くことができた。
しかし、取り組みの度合いが低く、課題の残る児童もいる。家庭と連携し、さらにきめ細かい指導が必要である。 |
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